クラフツマン
こだわりを尽くした京七宝

江戸中期の歌舞伎役者佐野川市松が、舞台でチェック柄の袴を好んで着ていたことから「市松紋様」と呼ばれるようになった。

市松紋様を切削した銅板に釉薬を載せていく


ルーペを覗き込み表面を均す

焼成の熱によって銅板が反ると平になるように計算して、予めこれを考慮し敢えてたわんだ形状でつくられている。



冷めてガラス質になった表面を研磨する。

TOMO KOZUMI氏の誂え品であるチェストのプッシュオープンの引出しに、象徴的に取り付けた七宝焼のパーツ。シンプルな市松柄と飴色はTOMO KOZUMI氏のが一瞬で気に入った模様だ。京七宝を手掛けるアミタエムシーエフは、現代的な金属加工の技術と、職人技を組合せたものづくりを得意とする。今回の七宝焼のパーツは、ベースとなる銅板をレーザーで切削した。色が美しく映えるように、切削したパーツの一番溝の深い部分には、職人が金槌で叩いて表面に不規則な模様を入れ、光の乱反射を起こりやすくする手間をかける。そして、焼成後、ガラス質になる釉薬を表面に塗る。専用釜に入れ焼成、冷ました後、一枚ずつ研磨し、輝きを出していく。

アミタエムシーエフ |金属工芸
1932年(昭和7年)京都に創業した金属工芸・加工の工房。図案から金型、プレス、七宝焼、研磨、めっき加工まで一貫生産を行う。社章や記念品の他、造幣局で製造されている勲章・褒章等も手掛けている。