クラフツマン
文化を支える職人のこだわり

竹器師・黒田宗傳氏は京都の郊外で、自ら竹を育てている。

竹の表皮に縦縞のような窪みが入る「シボ竹」。

青竹から油抜きをする工程では、炭火の直火で炙る。このやり方が最も美しい竹をつくるという。

自身の作品では、竹を見て、何を製作するか考えるそうだ。
京都の職人は多かれ少なかれ、茶道文化を支えている。あるいは、茶道の世界が、職人に良質なこだわりある仕事を求めてきたとも解釈できる。
明治29年、千家十職の黒田家より分家した竹器師・黒田宗傳。当代より、京都郊外にてシボ竹を育成している。これは、マダケの変異種だ。竹の表皮に縦縞のような窪みが入ることが特性で、道具の景色として楽しむ。兵庫県たつの市「龍野城」にみられる片シボ竹は天然記念物に指定される。黒田家は代々、シボ竹を作品に用い、自然がつくり上げた美しさを引き立てる。青竹から油抜きをする工程では、炭火の直火で炙ることにこだわり、毎年3月には3週間ほど作業場に泊まり込んで仕事を続ける。黒田氏曰く、色艶の出来栄えが、炭火でやるのが一番美しいという。自然の力でできたシボを、職人の手によって美しく磨き上げ、服部今日子氏の茶箱に相応しい上品な茶杓が完成した。



火を扱う釜師·吉羽與兵衛氏の作業場は、女人禁制だ。ダイバシティが言われている中、頑なに先代からの教えを守る。区別・差別ではない、理由がある。第一には火の神様が女性だから嫉妬してしまうと言われているが、実は、火を扱う作業場に女性が出入りして火傷をしたら大変だから近づかないようにという、紳士たる優しさが垣間見えるポジティブな教えだ。
服部今日子氏の茶箱に入る建水と茶巾筒を手掛けた。建水は一枚の黄銅板から製作され金属の素材特有の色目があり、華やかさがある。茶巾筒は南鐐(純銀)製で、数寄屋袋や仕覆用として製作した西陣織の絵図を意匠として落とし込んだ。

竹器師 四代 黒田宗傳 |竹工芸
初代 宗傳翁は千家十職十代黒田正玄の次男として1896年 (明治29年)分家、創業する。当代 宗傳は1968年(昭和43年)生まれ。昭和62年、半床庵(久田尋牛斎宗也宗匠)に入門し茶道の指導を受く。2011年(平成23年)に四代宗傳を襲名。 2021年、大徳寺管長高田明浦老大師より修竹軒の軒号を拝受。

吉⽻與兵衛 | 金属工芸
1925年初代與兵衛が千家十職大西家より別家を許される。1968年 二代目吉羽與兵衛の長男として生まれる。1994年 先代に師事し家業釜師の修行に入る。2008年 三代與兵衛を襲名。伝統の京釜作りを守りながらも現代に合うデザインを取り入れた作品を手がける。