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朝吹真理子さんのお誂えの逸品
朝吹真理子さんのお誂えの逸品

お気に入りのものを、ずっと使い続けたい。
毎日使う仕事道具だから、心地よいものを選びたい。

「誂え」と聞いて、朝吹さんが想起されたのが、仕事の道具にまつわること。学生時代から愛用されている書き心地の良いセーラーの万年筆。色やネーミングが気に入っているエルバンのインク『月の埃』。日々、仕事を支えてくれる道具たちを雑多に持ち歩いていることに、申し訳なさを感じる。読者にサインをお渡しするために出版社が用意する合紙を、もっと特別なものにしたい。書籍のデジタル化が進む世において、わざわざサイン会にお越しになる方に、感謝を伝えるために。

毎日使う道具に対する、愛着。間に合わせで済ませるボールペンやメモ帳ではなく、自身のこだわりで選ばれている道具たち。初めての誂えに、愛用品の居場所をつくることをご要望いただきました。

朝吹真理子さんと兵働知也さんの打ち合わせの様子

京都市北部に工房を構える兵働知也さんの工房にて。普段は掛軸を巻く筒や香道具箱などを手掛ける。

京都の指物師は、茶道具など趣向を凝らした依頼にこたえるため、多種多様な木を扱います。漆塗の箱に適した檜、水屋に使うなら杉の柾目など、適切な木を選ぶ文化が根底にはあります。木材は切り出してすぐにものづくりができない素材で、30年、40年と寝かせ、その時を待ちます。「誂え人の好みや、用途に合わせた木材を選ぶ」とは、そういった背景があるために可能になります。
朝吹さんは、繊細でありながら力強い木目が特徴的な屋久杉を選ばれました。そして、木目のどの部分を天面にするか、じっくりと吟味されました。

朝吹真理子さんと開化堂での打ち合わせの様子

開化堂本店にて。丈夫なブリキ製の茶筒は100年前のものが今でも修理に帰ってくるという。

原稿用紙を持ち運ぶ「入れ物」。紙を筒状に収納する形態は、一両日中であれば紙の反りがさほど気にならないことが分かり、茶筒を応用することに。機械化せず、創業当時からの手作業による茶筒づくりを続ける工房だからできる、茶葉入れ以外の用途への対応。紙が引っかからないよう内側の継ぎ目を極力平坦に。また、紙を取り出しやすい身蓋のバランスなど、細部にまでこだわりました。

染司よしおかの染色の様子

天然染料だけで染色を行う工房 染司よしおか。天候、染色液の状態、生地によって都度、条件が変わる難易度の高い染色技法です。

身の回りにある「布」に、素材感、色、大きさなどすべてを好みに合わせることができたら、どんなに心地よいか。本、タブレット、文具類など持ち運ぶものが多い方にとって風呂敷は便利アイテムですが、普段の服装にしっくりくるものとなると難しい。また、包む布として、少しだけ機能を追加できれば、レザーグッズよりも使い勝手が良い。知らず知らずのうちに、些細な我慢をして使っている入れ物に、じっくりと向き合う。何層にも染め重ねる日本の伝統色である藍下黒や藍色を一枚ずつ丁寧に染め、用途に合わせた大きさ、仕様に仕立てました。


いつの間にか「愛用品」になる日常使いの道具たち。それらを大切に使い続けたいが故に誂える「居場所」。
「相手」に合わせることができることは、手仕事の魅力の一つと言えます。

まさに日々の生活をより豊かにするお誂えとなりました。

誂え品

朝吹真理子

屋久杉製のお道具箱。

朝吹真理子

お渡し時は、仕切りを固定せずしっくりくる仕切り位置が決まった後に、取り付ける。

朝吹真理子

屋久杉製のインク瓶入れ。

朝吹真理子

持ち運び用の原稿用紙入れ(ブリキ製)。

朝吹真理子

小物入れ(銀製)。付箋や落款など小物入れとして。

朝吹真理子

天然染料で染めた生地の合紙入れ・万年筆入れ・風呂敷。

誂え人

朝吹真理子

写真:新津保建秀

朝吹真理子(作家)

1984年 東京都生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。2009年 処女作の「流跡」を『新潮』に発表。2010年同作でドゥマゴ文学賞を最年少受賞。2021年エッセイ集「だいちょうことばめぐり」を刊行。

CRAFTSMAN

開化堂(茶筒)

開化堂(茶筒)

英国から輸入されるようになったブリキを使い、丸鑵製造の草分けとして文明開化の明治8年(1875年)京都で創業。以来、一貫した手作りの製法を守り続ける。

染司よしおか(草木染)

染司よしおか(草⽊染)

京都にて、江戸時代より六代続く工房。絹、麻、木綿など 天然の素材を、紫草の根、紅花の花びらなど、すべて自然界に存在するもので染色を行う。

兵働知也(指物師)

兵働知也(指物師)

1974年生。21歳 染色の道へ入り、27歳 茶道指物との出会いによりその道へ進む。35歳より京北にて工房を構え現在に至る。掛軸など文化財の保存箱や茶道具などを手掛ける。

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