京都の舞妓が身につけるつまみ簪は芸歴やお茶屋の意向が反映され、四季の移り変わりを表現しています。舞妓遊びも徐々に少なくなってきている昨今、お茶屋の数が減り、簪をつくる工房も減少の一途を辿っていますが、北井では職人の育成に力を入れ、伝統文化を陰で支えています。
つまみ細工とは、小さく正方形に切った何枚もの薄布をつまんで折り畳んでは土台に貼り重ね、様々な形に仕上げる手仕事で日本の伝統工芸の一つです。つまむ生地には羽二重が使われ、生地染、糊加工、断裁など多くの下準備を経てようやく、つまみの工程に入ります。時間を惜しまず、丁寧に繊細につくられていきます。
生地染め、糊貼りなどの下準備を行った正方形にカットした生地を使用し、花びらをつくっていきます。
ピンセットで二色の生地を合わせて4回折りたたみながらつまみ、花びらの形をつくって糊台にのせていきます。
色和紙を貼った土台に一枚ずつ隙間のないようにバランスを取りながら花びらをのせていきます。
舞妓の簪は、お茶屋で管理し、代々受け継がれていく大切な衣装です。できるだけ長く使えるつくりとして考えられ、主に和紙、羽二重、糸、針金などで構成される簪はお直しや、大振りの花をばらして3つの簪にするなど、つくり直しができるようになっています。