清水寺の麓、五条坂に開窯し、約110年間続く窯元です。京焼らしい華やかな茶碗を制作することに長けており、なおかつ現代風の軽やかな雅さを表現します。瑠璃釉掛けを施した茶碗や金彩を施した茶碗など、茶を飲むための道具としての用と芸術性を感じさせる美のバランスを絶妙に掛け合わせています。すべて古くからのお客様との関係を大切に考えてきたからこそなせる業です。
京都で数少ない京式登り窯があるのは炭山。かつては京都市内にもよく見られた登り窯は1971年の排出規制により激減しました。多くの職人は代わりとしてガス窯や電気窯での作品作りに移行したのに対して、少数の職人たちは京式登り窯を残そうと五条坂から炭山に工房を移しました。京式登り窯の特徴は、磁器、陶器、素焼きなど様々なものを同時に焚くことが出来ます。当時の窯場は窯焚きにかかわる仕事が様々な専門職によって成り立っていました。彼らは窯焚きさんや薪割りさんと呼ばれていました。窯焚きさんはすべての窯に火が満遍なく行き渡るように、必要な薪は多くの薪を割る技術をもった薪割りさんがおこなっていました。こうして様々な職人と窯焚きの専門家が集い、接しながら生まれた作品は他にない味わいを魅せます。炭山では現在もなお年に一度火入れを行い、技術を継承しています。