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CRAFTSMAN

匠頭漆工 木地師

人生をかけて一つの仕事に従事する

二代目の久保出章二さんは、今でも新たな発見があるとおっしゃり、日々、木のことを考えていらっしゃいます。木地師の一番初めの工程である乾燥。開発当時、多くの業者に断られたため、2畳程の広さの乾燥機を研究し自作してしまったそうです。多くの分野の職人がそうであるように、必要な道具は自分でつくりメンテナンスする。新たな技術を取入れ、これまでできなかった工程をやりぬいてしまう。それでいて、楽しくないと思ったことは一度もないそうです。

匠頭漆工の二代目久保出章二さん
(左)久保出章二匠頭漆工 代表取締役社長・木地師
(右)久保出貴雄同社 専務取締役・木地師
1946年初代が久保出木芸を立ち上げ、その後、匠頭漆工に改名。社長であり木地師の久保出章二さんはこの道60年のキャリアの持ち主。

木地師

漆器に使われる生地はその多くが木です。木地師は、荒挽き師が大まかに挽いた木材を受け取り、器の形に成型する工程を担います。石川県・山中の特徴は、“木”という素材そのものを活かす技術力にあります。特筆すべきは、歪みに強い「縦取り」という山中だけで行われる技法。自然の流れに沿って木から器を切り出すことで、器を置いたときに原木が上に向かって成長するのと同じ方向、年輪に対して素直な角度のため強度が増し、歪みや収縮に強くなります。

  • 木地師として行う第一工程は「乾燥」。水分を多く含む荒挽き状態の生地を乾燥機に2週間程入れて湿度をコントロールし、狂いにくい木をつくっていきます。

  • 匠頭漆工は『鉄鋼旋盤』を用いた半機半民、すなわち機械の動力と職人技の共存による仕事を行います。

  • 旋盤機に専用の刃物を取り付け、削り型をセッティングした後、機械の動力で回転する木材に刃を当て削るという一見、効率的な手法ですが―

  • 木地は自然素材のため当然個体差がり、職人の目や手の感覚で微調整を行っていきます。

  • 産地でいち早く鉄鋼旋盤を導入し、約50年使い続けています。

  • 刃物はスウェーデン製の粘り気の強い鋼を、木地師自らの手で削りだしてつくります。