薗部氏は、若い時代、修行をされていた工房で身に付けたマドレー染(糊流し染め)の技法をベースに、独自に技術革新を行い墨流しの技術を確立されました。糊流し染めは製作の工程で多くの糊を使いマドレー柄を出すため、工程の中で、糊を落とす作業が非常に負担になっていました。その解消のために研究を重ねて、10年。水に溶けにくい染料の開発によって、より効率的に美しく染めることのできる墨流しの技法を確立されました。
その挑戦魂は留まるところを知らず、着物の生地である絹織物を染める技術を革に展開するなど、美しい染めをより多くの方に身に付けていただくための技術革新を続けています。
友禅染とは、水と細かな粒子で構成された染料で絵を描き出す技法の総称で1000年以上受け継がれてきました。染料が綿や絹などの生地芯に浸透して発色することで、奥行きのある色を染め出し、また光の当たり方などでも、風合いは様々に変化します。墨流しは、平安時代、貴族の遊びとして水に墨を垂らし流れる様を愛でていたことが起源とされます。「水に墨(黒=苦労)を流す」の意味合いがあり、縁起を担いだ文様といわれています。水の流れと職人の手業が作り出す一点ものの柄が最大の魅力です。
水槽に水をはり、水の比重を重くするための糊剤を配合した後、エアーブラシ型の器具を用いて染料を水面に滴下していきます。
水の表面に浮いている染料を道具を用いて流動させ模様をつくります。
出来上がった模様の上に白牛革を載せ、革に柄を写し取ります。