三代目吉羽與兵衛さんは、伝統的な技法を守りながら新たなプロダクトを手がけていくことに積極的に取り組まれています。そのアイディアの源泉は、古いものを見ること。昔からあるもの、今に残っているものから着想を得て、新たなものを生み出されています。
お茶の世界で大事にされている「時間を楽しんでもらう」というもてなしの精神。あまりにも忙しい現代の日常の中でも、ゆったりとした時を刻んでいただけるプロダクトを手がけていかれたいと考えていらっしゃいます。
鎌倉時代頃には、鉄の釜は湯をわかす道具として、お茶だけでなく、食事のためのお湯や、風呂など日常に使うお湯まで、様々な目的で使われていました。茶の湯の発展と共に、茶の湯をわかすための専用の釜、茶の湯釜が登場します。茶会を行う事を「釜をかける」という程、茶の湯にとって茶釜は大切な道具となり、特別に誂えるものとなりました。京釜師は黒子に徹し、釜に作者の銘を入れることはしませんが、茶人は、釜の肌合いで誰の作品かを見分けることができます。現在、京都では4、5 名の釜師たちが、先人の培った京釜ブランドを守り続けています。
鋳型作り。茶釜は基本的にはお誂えのため、一つの鋳型からは一つの茶釜しか製作しません。
鋳造。鉄を溶かして鋳型に流し込みます。
茶釜の肌の調子を整えます。
漆を表面に焼き付けます。錆止めの効果と、独特の風合いを出しています。