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VOICE OF CRAFTSMANSHIP

MAGAZINE

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パートナー対談

作り手の思い・考え方こそ未来へ残したい!Kiwakotoメンバーと開発パートナーとの対談です。

職人(artisan)の技を磨くために、作家(artist)としての自己探求がある

加藤丈尋(丈夫窯当主)×吉村(Kiwakotoディレクター)  
  

加藤丈尋
京焼・清水焼 株式会社丈夫窯 当主
職人として仕事をしながら、作家としても様々な展覧会に出品。釉薬の研究による色の表現を得意とする。

丈夫窯当主との対談風景

吉村:
今日はお時間をいただきありがとうございます。早速ですが、一番聞いてみたかった質問をさせてください。
加藤さんは、職人ですか?作家ですか?日々、多くの作り手さんとやり取りをする中で、伝統工芸の世界では、「作家と職人との境目」が曖昧だと感じています。加藤さんも、作家として日展に作品を出す一方で、料理屋で使う食器や、我々との商品開発も手掛けられていらっしゃいます。

加藤:
どっちも、でしょうね。「工芸」という言葉は、英語で同じ概念をもつ単語がなく、最近では「KOGEI」と表記するくらい、日本独特の概念と言われています。
私自身は、職人としての仕事はお客様の要望に応えることと考えてます。単に言われたものをつくるということではなく、もっとこうしたほうがいい、という提案も含めてです。
作家としての活動は、自分自身の表現を突き詰めるもの。私にしかできない表現を実験する活動ともいえます。
自己探求の中で突き詰めた技術や偶然発見した表現方法が、職人としての仕事にもフィードバックされ、お客様が求める以上のものを作ることができる、と。なので、職人と作家を行ったり来たりしているイメージです。
日展に出るのも、一流の人たちと自分の作品が並ぶという意識を持ち続けること、そして、作品を見たら名前を見なくても、丈夫窯の作品だと分かるようなオリジナリティを磨くためです。

ストーリーを語れる喜びを届けたい

吉村:
職人として商品を手掛けられているときは、どんな思いでつくられていますか?

加藤:
茶会で使われる茶器や、晩餐会で使われる前菜のお皿など、特別なときに使われるものを手掛けることが多いのですが、器を紹介する方が、「この器は今日のために、こんな思いでつくった」「ここにこだわっている」など、ストーリーを語れることがとても大切だと考えています。
そのメッセージを受け取った方も、「この会のために、特別なんだ」と、とてもうれしい気持ちになりますよね。細部に宿る相手への気遣いを形にして届けることができるのが、器だと思っています。

吉村:
確かに。特別な会で、主催者の思いやもてなしの心が器として形になって表現されていると、客人にとって「より格別な体験」として深く記憶にも残りますね。
今回、一緒に開発した車で使う香りの器も、カーライフを提供する我々のアイディア、加藤さんの技術、香りの専門家の知恵が詰まった商品になりました。各々、異なる世界の専門家だからこそ、お互いを補完し、これまでになかったものを生み出せましたね。

加藤:
そうですね。陶器のプロ同士だけだと、できる範囲を知っていますから、アイディアを深掘る際も限定されてしまうのですが、今回は、違いましたね。そもそも、移動する場所にわざわざ陶器を置こうという発想がないですから!
試行錯誤を重ね、アロマの自然な香りを移動空間でも楽しんでいただける器になり、非常にうれしく思っています。近代的な空間である車に、陶器があるというのもその空間を和ませるアイテムとして、素敵だな、と思います。これからも、いろんな切り口をチャレンジしていきたいですね!

  

  

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