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パートナー対談

作り手の思い・考え方こそ未来へ残したい!Kiwakotoメンバーと開発パートナーとの対談です。

伝承の上に、少しずつ「個性」をのせていく

佐々木虚室(帰来窯 窯主)×吉村優(Kiwakotoディレクター)

佐々木虚室
楽焼 帰来窯 窯主
1996年 帰来窯を先代から受け継ぎ、当主となる。110年続く窯元で、楽焼の継承に力を注いでいる。

帰来窯の佐々木虚室との対談風景

吉村:
帰来窯さんの工房は、風情があり空間そのものも魅力的です。カエルや雲雀の鳴き声が聞こえる中で、作陶ができる環境は京都でも珍しいですよね。

佐々木:
ありがとうございます。40年前、前代がここに拠点を開いた際に、未来を想像して整えてくれたのだと感じます。そのとき苗木だったもみじの木も、今では見事な紅葉風景をおりなしています。
現在、私は、茶碗以外にも、楽焼の可能性を広げようと、タペストリーなどインテリアに用いることのできる陶板製作も手がけています。楽焼の技法を用いて、板状に焼き上げるのは非常に難しい技術です。これも、当窯が110年培ってきた技術の伝承があったから積み上げることができた「個性」です。京都の企業は100年経って一人前という話は有名ですが、ただ古いことに価値があるのではなく、時代の中で積み上げてきたものがあるからこそ、他にない文化や技術が脈々と受け継がれていくのだと実感します。

ものがいいのは当たり前。ものと共に、語ることのできるストーリーを大切にしたい。

吉村:
千利休が考案してから楽焼の歴史は400年余り。その魅力とはなんでしょうか。

佐々木:
最大の魅力は、「千利休の茶の湯を表現する」という目的が先にあって楽焼が発展してきたということです。他の焼き物は、産地産業で、いい土が取れたから焼き物がつくられるようになり、壷を作ったり、皿を作ったりして発展してきました。
楽焼は、最初からストーリーがあり、茶の湯の精神を形として体現したものといえるのです。

例えば、楽焼では、手づくねといって、手のひらの中で成型する技法を用います。敢えて後進的な作り方に利休がこだわったのも、当時、朝鮮陶工らが伝えた轆轤が国内で広まり、急速に、焼き物が機械化されていく時代であったことを考えると、何らかのメッセージを感じます。

未来に向けて取り組みたいことは、楽焼の文化を根付かせる足がかりを作っていくこと

吉村:
佐々木さんは、海外の方々や若い世代の方々へ楽焼文化を熱心にお伝えされているそうですね。

佐々木:
はい。私は、技術だけではなくて、楽焼の文化的背景も未来に残したいと考えています。
ところで、「わびさび」の言葉の意味は説明できますか?

吉村:
・・・正確には説明できないですね。贅沢をしない、必要最小限、というイメージです。

佐々木:
よく使われる言葉ではあるのですが、説明できる方は少ないですよね。
あくまでも私の解釈ですが、「わび」と「さび」という言葉を一言で表すと
「わび」は、不足の美
「さび」は、経年による美しさ
と、捉えています。
不足の美しさを表現することで、見る者に何かを想像させる。朽ち果てていく中にも美しさを見出す。そんな日本的な美の概念を、楽焼と共に、絶やさず、人々の記憶の中に根付かせたいと強く思っています。
文化をつくるのは時間がかかります。私が足がかりとなり、その芽を残す。それを受け取った次の世代がまた少し前進させる。ちょっとずつ変化を続け、文化をつくりつづけたいと考えています。

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