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VOICE OF CRAFTSMANSHIP

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パートナー対談

作り手の思い・考え方こそ未来へ残したい!Kiwakotoメンバーと開発パートナーとの対談です。

デザインが引き出す伝統工芸の「価値」

みやけかずしげ(プロダクトデザイナー)×吉村(Kiwakotoディレクター)  
  

みやけかずしげ氏との対談風景

Kiwakotoが初めてリリースした「ラグジュアリーなカーライフ」を提案する商品を、ゼロから共に考えてきたみやけかずしげデザイナー。カーライフの中で何が求められているか、その中で伝統工芸をいかに表現するか、何度も工房に行き試作を繰り返し、リリースに至りました。デザインが伝統工芸にどう関わっていくか、お話を伺います。  
  

吉村:
カーライフと伝統工芸と最初聞かれたとき、どのように思われましたか。

三宅:
どちらも転換期にある業界、自動車は動力やAIによって大きく変わりつつありますし、伝統工芸も世の中から求められるものが変わり産業の構造自体も変わりつつあります。それらが、掛け合わさると面白いことになるのではないかと思いました。

吉村:
確かに、どちらもライフスタイルの変化と技術の発展によって、今後これまでよりも早いスピードで変化していくことが求められる産業といえますね。伝統工芸を生かした商品開発において、特に気にかけていらっしゃることはありますか。

三宅:
「価値をどう表現するか」ということです。過去、伝統工芸は日常に根付いた品でした。現在は、その多くが贅沢品に変わってしまったように思います。そのような状況において今の時代の伝統工芸とは何か、それによってどのような価値を表現するべきかを、作る側ではなく「買う・使う側」の目線で考えるようにしています。

デザイナーのみやけかずしげ氏

吉村:
手がけられている無印良品や±0の家電領域と、伝統工芸とは、全くデザインのアプローチが異なるように感じますが。

三宅:
電化製品のような量産品でも伝統工芸でも、製造の方法が違うのは事実ですが、デザインの軸として「ものの価値をお客様に伝える」という観点では同じです。これだけ、いろんな情報や技術がある中で、伝統工芸という表面の情報ではなく、そのものの持つ真の価値を掘り下げ形にするのがデザインだと考えています。

吉村:
デザインを考える軸や、掘り下げるプロセスは、工業製品も伝統工芸も同じなんですね。

三宅:
そうですね。伝統工芸の業界が変わりつつあり、表面的な技術力や美しさだけではなく、「価値」は何かを追求し、デザインすることが必要不可欠になってきました。そのためにデザイナーが関わる機会が増えたのだと思います。

吉村:
他産業からみたときに、伝統産業の抱える課題はありますか?

三宅:
先ほども言いましたが、工業製品と伝統工芸では製造方法が違います。手で作られるものが多い伝統工芸では、手作りの価値をどう伝えるかが問われてきます。単純に機能が良いとか使いやすいということではなく、美しさや手作りならではの価値を加えて伝えることが必要ですし、そのような手作りの、どこか人間味のある温かみのある価値を提供できることが魅力です。しかし同時に製造の工程が一貫していないことが多く、工程ごとに作り手が分かれていることが物作りを複雑にしています。ものづくりに関わる全ての作り手の意思が統一できなければ良い商品は作れませんので、その意思統一をより密に行うことが重要だと考えています。

Kiwakotoディレクターの吉村優

吉村:
今の時代、求められる「デザイン」とは、どんなものでしょうか。

三宅:
ものの価値が明確に伝えられるデザインが求められていると考えています。作り手側の思いだけを実践した商品ではなく、買う・使う側として今何を求めているかを十分に理解し、それと作り手の商品が持つ価値を繋げることがデザインのすべきことであると考えています。

吉村:
ショールームに並んでいる、完成した商品をご覧になっていかがですか?

三宅:
ショールームは商品が一堂に会してお客さんとの接点が生まれる場所です。作って終わりではなく、お客様の声を今後の商品にも反映していきたいですね。

吉村:
三宅さんがイメージする「ラグジュアリーなカーライフ」を教えてください。

三宅:
高価な車に乗るということももちろんですが、自分の気持ちが少し高ぶるような、少し違った空間になる、少し特別な気持ちになる、ということもラグジュアリーの一種であると考えています。 何か気に入ったものをいつもの車に備えることで、車内空間の雰囲気が少し変わり、気分が高ぶる…とても贅沢なひと時だと思います。人の感覚は時代と共に少しずつに移り変わります。「ラグジュアリー」もその時代によって求められることは移り変わりますよね。

吉村:
伝統工芸も、今では古典的なイメージがありますが、かつては時代を先取っていたものであったはずですよね。その時代に合わせて、どう変化し、価値を届け続けるかが、ラグジュアリーなライフスタイルを体現するブランドとして重要ですね。今日はありがとうございました。

  

  

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